説明+プロローグ=魔法戦争

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「そんな呆れられても……人数的に仕方ないじゃないですか」  寝転がっていた神之は上半身を起き上がらせながら苦笑いを混ぜ込みつつ女性教諭、白坂 美流(シラサカ ミル)に言う。  今は学校クラス対抗の『疑似魔法戦争――マジシャンズバトル』の最中。  辺りを見渡せば、あたりこちらで魔法をぶっぱなしている。  だが神之は落ち着いている。それは自分が魔法に当たらない確信があるから。 「屁理屈はいらん」  魔法を使ってる生徒を心の中でバカ扱いしている神之の頭に拳骨制裁がくだる。 「物理……! 物理攻撃だ! 今頃物理なんて先生遅れてるぅ! というか屁理屈ではなく普通に理屈は通ってる気がするぅ!」 「もう一発くらいたいらしいな」  今時みたいなしゃべり方をした神之に対し、白坂は怒りしか覚えなかったらしく、拳に息を吹き掛けながら第二インパクトを与える準備をしていた。 「す、すみません! 頑張ります! 頑張りますから! 魔法使えば良いんでそ?」  神之の手のひら返しは群を抜いていた。 「そうだ。頑張れ。魔法使え」  神之の言葉を聞き、白坂は拳を開いて、神之に手を差し出す。 「ああもう、面倒くさいなぁ。一瞬で片付けますからね」  神之が白坂の手を掴んだ瞬間、辺りの魔法は全て消え失せる。  空から轟く雷も、爆発しまくってた爆弾も。まるで時間が止まったかのような静寂が流れる。  瞬間、相手陣地の旗が消えた。旗を守っていた相手チームのリーダーは何が何をしたかわからないが、誰がやったかは理解できていた。  そして神之クラスの勝ちが決まった。      ☆  神之静香。性別男。孤児院育ち。  世界で初めての『絶対魔法――ルールブレイカー』の持ち主。相手との恋愛感情はまったくなくても、女子と触ってるなら魔法の発動が可能。  尚、恋愛感情を持った相手とパートナーになったときの魔法はまさに『奇跡』だったとの報告があり。  異端児であり、強者が正義のこの時代では強すぎるが故に嫌われ者の、日本最大の人間兵器。  彼が願う奇跡はただ一つ。  もう一度優花と笑えるただの日常を手に入れること。
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