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「あら? 百合江ちゃん、一哉はあんなにかわいい顔してるのに、私が腹立たしくなるくらい、私に性格が似てるのよ。狙ったモン逃すような子じゃあないわ」
自分に似ていて腹立たしいって何なのよ。でもまあ最大級に恐ろしいという事だけは理解できるけどさ。
「大丈夫よ、ほのかちゃんは百合江ちゃんにそっくりじゃない」
「どういう意味よ」
「必ず百合江ちゃんにそっくりなドMに成長するはずよ」
「ヒイイイッ」
今世紀最大かもしれない真っ黒な微笑みを浮かべた麻衣子が吐いた言葉に思わず悲鳴が出る。
「ママ、まあちゃんの帽子が見つからないの」
ほのかは自分の支度をすませて弟の政信の帰りの準備を手伝っている。その微笑ましい様子に麻衣子の言葉の恐怖が薄らぐ。
「ロッカーにあるみたいよ。取りに行ってあげて」
「はい」
私が編んであげたおさげを揺らしながらほのかが政信の帽子を取りに行く。我が子ながら着々と優しいお姉ちゃんにそだっていると思う……。
それを、このドSの親友の魔窟に嫁がせろと!?
うーん。まあ本人がそれを望んだら仕方がないけどさ、でも明らかにほのかは一哉を怖がってる気がするんだけど。
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