7 relight my fire

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「でも、なんで? 麻衣子のことだから、そのへんは用心深いと思ってたんだけど」 「あら? 計画的よ。百合江ちゃん、私たちもう三十なのよ。来年あたり第一子が欲しいと思っていたの。半年くらいみてればいいかなと思っていたのだけど、遼一の生殖能力の勝利ね。取り組み始めて一ヶ月であっさり妊娠したのよ」   遼一君め。私に何にも言ってなかったぞ。きっと相当喜んでるに違いない。いよいよ麻衣子と結婚できるわけだから。   私たちはようやくメニューを決めてオーダーをした。 「結婚式はどうするんですか?」   ようやく、気持ちが落ち着いてきたさやかちゃんが麻衣子に尋ねた。 「再来月するわよ。仕方ないけど、ドレスだけ決めて後はかあ様に丸投げするわ。元々そうしたがってたし、遼一も忙しいからそれで納得してるのよ」   いいのかな? と普通なら思うとこだけど、麻衣子のお母様なら、優秀なウェディングプランナーを雇って麻衣子好みの式をさせるはずだ。この仕事量だと、結婚式の準備までしたら、赤ちゃんが心配だもの。 「やっぱり、遼一君は婿養子に入るんですか?」 「そうよ。前々からあちらのご両親にはそうお伝えして了解していただいてるの」   流石だわ。抜かりなく準備していたんだな。まあ想像できるけど。 「まあそれは今後詰めて話すとして、今日は百合江ちゃんの話を聞かないと」   ええー。私の話なんてむしろもうどうでもよくない? 麻衣子の話の方が、よっぽど重要だよ。   そう思っている私に構わず、さやかちゃんがしれっと言う。 「そうですね。どうなったんですか? 百合江さん?」   分かりましたよ。もう。私は大きくため息をついた。   じっと二人分の視線が注がれる。口を開きかけた時にオーダーしていたアンティパストが来たのでいったん会話を停止させた。 「まあ、食べながら聞きましょ。で、百合江ちゃん、どうなったの?」 「政基とよりを戻すことにした」   さやかちゃんはフォークに突き刺したモツァレラチーズをほおばってから、ニヤニヤする。 .
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