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そうなってしまえば断りにくいなぁと思うわけで、はぁと俺はため息をつきつつ天井を見上げて、
「ええい、食え食え、とことん食えばいいじゃないですか。コノヤロー、篝火、お前も遠慮するなよ。つーか、飯、食ったら千波と模擬戦な。後輩のお前らはもっと頑張らないといけません!! 海人といつまでもうつむいてないで食えよ。俺の金で食えばいいじゃないか」
と言いながらやけくそ気味にがーっと飯を放り込み、むしゃむしゃと租借したのだった。ええーと驚く千波達は無視。
「おや、こんなところに餓鬼がいます」
腹一杯飯を食って、授業をうけた放課後、野宿として使っていたテントを片付けた後、休むために寝転んでいたら、
「誰が餓鬼だ」
「いえ、そこに大きく腹を膨らませた先輩がいたものですから。こうしてはいられない退治しないとと思ったんですよ」
祭が箒に乗って、フワフワと降下してきた。
「先輩なんだけれど?」
「じゃあ、手合わせお願いします」
「やだよ。お前、強いもん。つーか、なんでじゃあ、手合わせ?」
「先輩は気が付くとどこでも戦ってるイメージなので、このまま襲いかかってもよかったですか?」
「よくないよ。というより、俺はそういう考え苦手だなぁー。野蛮だよ」
「ですけど、私は先輩の全力と戦ってみたいです」
「さっきも言っただろ。お前が勝つよ。だいたい俺はランク外れな落第ギリギリなんだからさ」
「そういう嘘はもうやめるべきですよ。先輩」
「嘘なんて」
「学園には、そもそも『ランク外れ』だなんて制度はもともとありません。どんな能力だろうとそれに適した仕事が割り振られる仕組みになっています」
と、祭が言う。
「何が言いたいんだ?」
「先輩は、力を隠してるんでしょう?」
「なんとことだか、さっぱりだな」
「ふぅ、じゃあいいです。明日になれば否が応でもわかってもらえると思いますよ」
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