選択肢《4》私闘、死闘、決闘。

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はっ、はっ、はっと地面を蹴り、走る。物陰から現れたそいつが現れ、俺は拳を振るう。そいつは俺の動きを見切ったように拳を受け止めながら反撃してくる。俺も受け止める。 そいつは、真っ黒な影だ。輪郭は俺と同じくらいの背格好で同じような動きを見せる。 「どうなってんだ。こりゃ」 かれこれ、数時間、こいつと戦っているがまったく倒せる予感がしない。 海人と仲直りした、その翌日。俺は珠血先生に呼び出された。 「チワーッス、先生、昨日はどうも世話になったっすね」 とできるだけ、フレンドリーに接するが珠血先生はニコヤカに笑うだけである。その背後に般若らしき顔が見えたが見えていないふりをした。 「先生はちょーっと怒ってますよ? 狩須磨君」 「ほう。なんでしょうか」 「訓練室を半壊、夜中に一年生の女子生徒を連れ出して逢い引きまがいなことをしていたこか、していなかったとか」 「なんのことっすか。まったく心当たりがないなーなんて、つーか、そんなことのために呼び出したんじゃないんでしょ? もうすぐ二度目の話なんですよね」 と言いながら、黒星カードを取り出す。訓練所を半壊させたのは鳩だから俺のせいじゃない。たぶんだけどな。 「そうですねー。前回はちょっとおまけしてあげたので、今回はちょっと厳しくいきますよ」 確かに、前回のテストはけっこうおまけされた。まぁ、一回目だからだろう。初回サービスだな。 「これは班ごとのテストでもあるんですけれど、今回、新しく開発された訓練システムを試してもらうんですよ」 と、珠血先生が訓練システムについて説明された。そのシステムは仮想空間を部屋に作り出し、その部屋でテストするというやつだ。 「テストの内容はこんなものですね。仮想空間でのシュミレーションと複数の実験をしてらいます」 「つまりは、そのテストに合格点を出さなければならないということですか?」 それが俺の試練だ。班の試験はまた、別ということらしい。 「ええ、ただし、合格点が出せればのお話ですけどね」 珠血先生が意味深な笑みを浮かべて言った。なんだか嫌な予感がするなぁと思いながら、その日、新しく開発された訓練システムが発表された。 そして、そのテスト内容も、この時にはその訓練システムが大きな波乱を呼び起こすとは誰も予想できていなかった。それともう一つ。 「衛藤鳩さんは特別クラスに移籍となりました。」
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