初夏、売りました

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『真宮寺司サイン会』  私は思わず足を止めた。  大きな書店の前に掲げられた立派な大段幕と長蛇の列。  書店の中に積み上げられた、真っ赤な表紙の文庫本。  日本の四季が危ない!  そんな書き出しで始まる小説『初夏、売りました』  日本の国が抱えた莫大な借金を返済すべく、政府が日本の四季を某大国に切り売りしていく。 と言うお話。  昨今、梅雨明けと共に茹だるような暑さがやって来る日本の異常気象を上手に取り込んだ物語だ。  作者は真宮寺司(シングウジ ツカサ)  イケメンだが、少々変わり者の27歳。  私の高校の同級生だ。  『初夏、売りました』は斬新で突拍子もない内容だが、何故か引きつけられるものがあり、既に私も1冊持っている。 が、ちょっとした懐かしさもあり、私は本を手に取ると、列の一番後ろに並んだ。
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