18人が本棚に入れています
本棚に追加
私も名前、入れて貰おうかな。
そう思いながら本を差し出し、自分の名前を言おうとした瞬間、
「何だよ、まだ読んでねーの?」
そう言った真宮寺くんのペンが『染谷藍さんへ』と迷いなく動いていた。
「え……ううん。もう読んだよ。うちにもう一冊あるから」
普通に喋っていた。
「さすが染谷!売り上げに貢献してんじゃん」
真宮寺くんがそう言ってニカッと笑う。
「当たり前でしょ。だって私、昔から真宮寺くんのファンだもん。知らなかった?」
何となくザワつく周囲の目も気にせず、私達の会話は続く。
「染谷。俺の書くフィクションは、いつか必ずノンフィクションになる……だからちゃんと見てろよ」
そこには、昔と全く変わらない真宮寺くんがいた。
最初のコメントを投稿しよう!