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「いいか、古来から風邪は菌を持った人と直接接触すると治ると言われている。だから今でも小説やら漫画やらドラマやらに使われているだろう?信憑性のないものは使われない、そうだろ?だからさ、迅もお兄ちゃんにキスして風邪をうつせばいいんだよ!」
「ゴメン待って、なんで最後そこに行きつくの」
俺の反論を聞かずに兄貴はじりじり迫ってくる。
ちょっとまって、本当におかしい。さっきまで普通にどこにでもいる変哲のない兄弟だったじゃん。なんでそんないきなりアウトーな世界に入り込んじゃうわけ。兄貴の脳内で一体なにがあったってんだ。
そんな俺の心境を知るはずもない兄貴はどんどん近づいてくる。
「待って待って、本当に待って!!どしたの兄貴!何があったの!いいよ、俺病院行くよ!だからそんなに近づかないで!」
「病院より、お兄ちゃんにうつした方が速いだろ?」
「そーゆー問題じゃない!」
いや、兄貴本気でどうしちゃったの。冷静にどうしちゃったの。もう既に俺の風邪がうつって頭パンクしちゃったの。
じりじりじりと詰め寄ってくる兄貴。もう顔は目の前。あぁああもうだめだろうな。一生に一度のファーストキス!紺野こんの迅!そこまで好きじゃない兄貴にあげちゃいますっ!
「っていう展開だったよね。風邪うつすって名目だったよね。どーして俺はお姫様抱っこされてゴートゥーベッドされちゃったのかな。兄貴、プリーズアンサーミー」
「お答えしましょう。それはですね、愛する迅くんがすっごくキュートだったからです!」
「…うん、おかしい。流石の俺もこの答えにはノリで返せないや」
会話どおりの事がおこってしまったのです。
目の前に迫ってきた兄貴に折れて、とりあえずフレンチキス?したのはいいけども、調子にのった兄貴がまさかまさかの舌を入れてきたという、ね。
そして俺の力が抜けたところを見計らってお姫様抱っこされて兄貴の部屋に着ちゃったわけなのです。
どーしてこんな展開になってるのか。そんなの俺が一番知りたいわ。
あれおかしいな。俺の回想、最初はすごく真剣に始まったよね?ね?なんでこんな展開になってんの。俺の人生シナリオってこんなんだったの。神様って不公平!!
「ねぇ迅、この展開になっても独り言呟いちゃうの?脳内は別ワールドに飛んでっちゃってるの?」
「あ、なんかごめん」
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