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横領事実の確認の資料も
何とか目途がついて
日本への帰国を明日に控えたその夜。
俺は東雲と共に
冬木さんの家に向かった。
正直沙織がいる家に東雲を
呼ぶなんて冬木さんの
気持ちは理解出来ないけど。
それでも俺はこの覚悟を
冬木さんに理解してもらいたいと
思っていた。
沙織が用意してくれた料理と
久しぶりの3ショットに酒も進む。
冬木さんと一緒に本社に戻るまでは
よくこうして3人で酒を飲んだ。
あの頃は3人とも若くて
記憶を失くすまで飲んだくれて
目覚めたら冬木さんの家で
知らない女と雑魚寝してて
ビックリしたり。
だけどこの香港という街は
俺は嫌いじゃなかったし
何よりも冬木さんと一緒に
仕事を出来る事が誇りだった。
あの頃の思いを
もう一度思い浮かべながら
俺はその言葉を冬木さんに伝える。
「今日は相談…というか
決意した事があって
ここに来ました。
かなり無理な話だと
自分でも解っています。
だけど…
俺はどうしても
この考えを捨てられない」
俺の言葉に首を傾げる冬木さんと
東雲にその覚悟を
穏やかな気持ちで語り出した。
「俺は…2年後に
この会社を辞めようと
考えています」
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