自己嫌悪

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その言葉に驚いたのは 冬木さんよりも東雲で。 「でも、簡単には辞めさせて 貰えない事も解っています。 だから俺はある条件を 出したいと考えています」 「条件?」 聞き返して来た冬木さんに 静かに頷いてその言葉を伝えた。 「2年間で俺も東雲も… 本社の上役の人間たちが 俺と東雲の意見に 耳を傾けざるを得ないほどの 実績を作り上げてみせます。 それが出来た時… 香港支社デザイン部長を俺に 本社デザイン部長を東雲に それぞれ配置変えさせる。 それに本社がYesと言わないなら その時、俺はこの会社を 辞めるという条件です」 俺の考えに東雲も冬木さんも 大きく瞳を揺らして動揺していた。 けれど俺の中でこの決意は 譲れないものだっただけに 東雲に言い聞かせるように 言葉を掛けた。 「…どうせ辞めるならさ… 一緒に悪あがきしてみないか?」 その問いかけに東雲は 参ったとでも言いたそうに 小さく笑う。 それをじっと黙ったまま 見つめていた冬木さんが 腕組みしながら聞いて来た。 「だけどそれがもし現実に なったとしたら… 小野は二度と日本には 戻れなくなるかも知れないんだぞ? お前はそれでいいのか?」 その質問に俺は 微笑みながら頷く。
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