文化祭

6/33
前へ
/33ページ
次へ
部室に入ると中には奏太先輩しかいなかった。 大学が決まった奏太先輩たちも当番をやることになっていた。 「交代です」 あたしが声をかけるとぐぐっーと腕を上に伸ばした。 「やっと交代か」 はぁーと大きなため息をついて椅子から立った。 「悠斗先輩は?」 「あいつ逃げやがった。トイレに行ったきり帰って来ない」 「悠斗先輩らしいですね」 部室にはあたしたち3人の他誰もいない。 「売れました?」 「一枚も売れないな」 テーブルの上には綺麗にポストカードが並べられている。 「暇だと思うけど、あとよろしく~」 そう言って先輩は部室から出て行った。 「暇を通り越して退屈そうだね」 あかりは椅子を引き座る。 あたしも椅子に座ってポストカードを眺めた。 10分経っても、20分経っても誰一人部室に足を踏み入れない。 廊下も誰一人通らない。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加