平凡じゃつまらない

きっかけ

「今、部長って言ったよね？」

「うんそうだけど」

才ヶ崎健人には、俺の驚いている理由がよく分かっていないらしく、きょとんとしている。

「いやいや、お前って1年生でしょ？」

「うん」

「なんで、入学して3週間でもう部長なんだよ？」

「まあ、まあ、その説明は後でいいっしょ？」

「いや、よくないだろ！」

なんだかこの不思議な男に、だんだん興味がわいてきた。

「とりあえず、入る気になった？」

「いや、まだなってない。てか才ヶ崎はさ」

「サイケンでいいよ」

「え？ 今なんて？」

「いやー、才ヶ崎健人だからサイケンでいいよ」

「ああ、そういうことか」

いきなり自分の呼び方を指定するやつなんて始めて会った気がする。

「それで、さっきザッキーは何て言おうとしてたの？」

「は？ ザッキーって俺のこと？」

「うん、そうだけど」

「そんな呼ばれかた始めてだわ」

今まで、島とかなら呼ばれたことはあるがザッキーなんて始めてだ。