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俺はサイケンにつれられて例の天文部の部室の前まで来ていた。
「まあまあ、そんな緊張するなって」
「別にしてねーよ」
「そうかぁ? まあ、それじゃあいくかー」
サイケンは、そう言うと『天文部』と書かれたプレートのある部屋のドアを勢いよく開けた。
部屋の中では、俺たちの国語の授業を担当している浜崎美香(はまさきみか)先生がソファーの上でスマホをいじっていた。
「あれ、才ヶ崎君じゃなーい」
まだ20代であろう、美香先生はこちらの方をじっと見つめてきた。
「ちっす、みっちゃん」
サイケンは、フレンドリーにあいさつをするとそのまま先生の前まで俺を引っ張っていった。
「才ヶ崎君、この子だれ?」
「ああ、こいつ、新入部員です」
サイケンは俺のことを勝手に新入部員だと言った。
「いや、まだ入るとは言ってな...」
「いやぁー、入ってくれるなんてうれしいわー、名前はなんて言うのー?」
そう言いながら、美香先生は手を握ってきた。
「あ、島崎裕太っていいます」
「島崎君かー、あたしこの部活の顧問なの、よろしくねぇー」
「よし、ザッキー、もう入部届け出しちゃえ」
そう言うと、サイケンは足元に置いておいた俺のカバンを勝手にあさりはじめた。
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