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こんな時間になっても、まだ空気が生暖かい。
また寝苦しい夜になるだろうか。
「ごちそうさまでした。久々に課長とお話できて楽しかったです」
私は頭を下げた。
暫く無言で暗い空を仰いでいた課長が視線を足元に落とした。
「なあ、滝川」
「はい?」
「こんな時間から約束って、どんな相手なんだ?」
「・・・」
確かに世間一般では非常識な時間の約束だ。不自然極まりない。
約束だなんて言わなきゃ良かった。不用意な発言に自己嫌悪に陥る。
友達と?家族と?どの選択肢も、この時間からの約束には適当でなかった。
どう言おうか私は必死で考えていた。
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