別れの花火と可愛い女1.5

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ついに日曜日になってしまった。 私は夕方、予約しておいた美容院に向かった。 彼の選んでくれた濃紺に桔梗の花が美しく映える浴衣。この浴衣に合う髪にセットして貰うためだった。 思い起こせば彼と出かけるのに時間をかけて準備したことが無かった。 あの夜「キレイな東子さんはあの人のためなのか」と詰め寄られたことを思い出し、今日は時間もお金もかけて準備しようと考えた。 最後の思い出だから・・・。 仕上がった私を見て、お店のみんなが「本当にキレイだ」と誉めてくれた。浴衣が似合うかどうか不安だった私にとっては、たとえそれがお世辞だったとしても嬉しかった。 今まで彼と出かけたどの時より、最後の最後、今日が一番緊張していた。
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