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約束の時間。彼が部屋へやって来た。
もちろん今までみたいに部屋へ上がることはない。
「これ、入江くんの物だから」
私はまとめておいた荷物を渡した。
「うん。面倒かけてごめんなさい」
入江くんは荷物を受け取る。
「面倒だなんて、思ってないよ」
荷物を車に載せ、私たちは花火大会へ向かった。
二人の間に流れるぎこちない空気が自然と言葉を奪い、あまり会話もないまま会場に到着してしまった。
開始まで一時間程、会場近くの駐車場は満車で、少し離れた臨時駐車場へ車をとめた。
車を降りる前に私は彼に切り出した。
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