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「あ~、入江さぁん」
私の苦手な甘い声と共に、里緒菜ちゃんが走り寄り、彼の腕に絡みついた。
「今からみんなで食事に行くんですぅ。入江さんも来て欲しいな~」
得意の上目遣いで見つめながら、おねだりするように体を揺らしている。そしてついでのように
「あ、滝川係長。お疲れさまです~」
と言った。
彼女と一緒に降りて来たのは、入社1~3年目くらいまでの若い社員のグループだった。
男性社員たちも一緒になって彼を誘っている。彼も「ああ、一回事務所戻って直ぐに行くよ」と答えた。
その内の一人が気を使って「滝川係長もどうですか」と私にも声を掛ける。
社交辞令で誘われたことくらいは分かってる。だから、当たり障りのないように断ろうと思った。
「ありがとう。でも・・・」
言いかけたその時、先日と同じように私の言葉を遮って彼女が声を上げた。
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