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帰り道。
少しでも時間を伸ばそうと、二人で遠回りの道を選んだ。
時間を伸ばしたくせに、もう、すぐそこまで迫った別れの時を思うと言葉が出ない。
時々すれ違う対向車のライトが車内を照らしては過ぎ去ってゆく。
この車に乗るのも、今日で最後。この車でたくさんの所へ連れて行ってもらった。
だけど、これほど家に帰りたくないと思ったことは無かった。
突然、車の前に飛び出した猫。
それを避けようと急ハンドルが切られた。
スライドする景色。
ブレーキの音。
私の肩を押さえる彼の左手。
コントロールを失った車。
目の前にガードレールが迫った。
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