別れの花火と可愛い女2

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帰り道。 少しでも時間を伸ばそうと、二人で遠回りの道を選んだ。 時間を伸ばしたくせに、もう、すぐそこまで迫った別れの時を思うと言葉が出ない。 時々すれ違う対向車のライトが車内を照らしては過ぎ去ってゆく。 この車に乗るのも、今日で最後。この車でたくさんの所へ連れて行ってもらった。 だけど、これほど家に帰りたくないと思ったことは無かった。 突然、車の前に飛び出した猫。 それを避けようと急ハンドルが切られた。 スライドする景色。 ブレーキの音。 私の肩を押さえる彼の左手。 コントロールを失った車。 目の前にガードレールが迫った。
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