別れの花火と可愛い女2

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一度開けたドアを閉めなおし、私は彼女と向かい合った。 どうせ言うなら、もっと早く言えばいいのに。不快に感じたけれど、ここは大人。 「一月前に?」 グッと堪えて笑顔で続きを促した。 「ホテルにお食事に行かれませんでした?」 そう言うと、彼女は自販機にコインを入れ飲み物を買った。 そっか。この子、私が課長と食事に行ったのを見たんだ。 その先をいちいち聞かなくても、言いたいことの予想はついた。 「ええ、ちょうどその頃、相澤課長とご一緒させて頂いたことがあったわ」 あんなにもったいぶって、私が隠すとでも思ったのだろうか。変にごまかすと、かえって彼女を喜ばせてしまう。私は彼女から言われる前に、あえて先に課長の名前を出した。
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