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「やっぱり!あれ、滝川係長だったんですね」
ほんの一瞬、ニヤリと笑ったように見えた。私の気のせいだろうか。
直ぐにいつも通りの上目使いに戻った彼女は、さっきまっで焦らしが嘘のようにペラペラと話し始めた。
「あの日、わたし我が家へのお客様をあのホテルに迎えに行ってたんです。相澤課長は直ぐにわかったんですけど、課長に隠れてお連れの女性が良く見えなくて。ただ、長身で、細身で、色白で。すぐに係長だと思ったんですよ」
「そう・・・なんだ」
「もう、超お似合いでした! お二人とも美男美女だし、釣り合いが取れてて。このこと皆が知ってたら、入江さんとは完全にお友達だって分かるのに、ねぇ」
「・・・」
「係長と入江さんじゃあ・・・ねぇ。どう考えても、係長には課長でしょ?」
何も、言えなかった。
客観的に見ると、そう見えるのだろう。
分かってはいたけれど、実際他人に言われるとズシリと重い。
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