別れの花火と可愛い女2

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「結婚のお話とか・・・ 課長は今年いっぱいでご栄転ですし、もちろんご一緒に・・・ねぇ?」 そんなプライベートな質問を上司にしてくる神経を疑うけど、核心を突いた内容だった。 「私たち、まだそんな・・・」 「そうですか、『まだ』ってことは、『ゆくゆくは』って意味でもある。ですよね?」 「・・・」 プロポーズめいたことは言われたけれど、実際付き合っているわけじゃない。 その中途半端な状況を考えて彼女の質問に答えたら『まだ』という表現になってしまった。 「うふふ。さっき係長を助けた課長も最高にカッコ良かったし。愛されてるって感じですか?」 「そ、そうじゃないの・・・」 言い訳をしようとした私の言葉を三度遮り彼女が言う。 「心配しないで下さい。わたし、誰にも言いませんから」 そう言うと、彼女は椅子に腰かけ、さっき買った飲み物を飲み始めた。
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