別れの花火と可愛い女2

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「お、お疲れさま」 私は焦って挨拶した。 「お疲れさまです。今日はこれで上がりですか?」 彼はごくごく自然に挨拶を返した。 あの日から、入江くんとは一切連絡を取っていなかった。 不測の事態で、怪我や仕事のことなど聞きたいことはあったけど、お互いに最後と決めていたから、そうするのが最善の策だと思っていた。だからこそ彼も、連絡して来なかったのだと思う。 彼の問いかけに私は「ええ」と頷いた。 「そうですか。じゃ、お気をつけて」 彼はサラリと笑顔を作り、私の横を通り過ぎようとした。 え・・・?それだけ? 会社の先輩後輩としては当たり前で自然な対応。 でもそれは、あまりに自然過ぎて、他人行儀で・・・。 「あ、あの・・・」 私は思わず彼を引き止めた。
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