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「はい?」
入江くんが振り返る。
「あ、うん・・・えっと」
特に考えもせずに引き止めてしまったけど、自分でも驚くことに適当な話題が無い。
私、いったい何の用事で彼に話しかけたんだろう。今更『何でもない』なんて、小学生の悪戯じゃないんだから・・・。
無言のまま私たちは数秒向き合って立っていた。入江くんも次の言葉を急かすでもなく不自然な沈黙を我慢してくれてる。
暫く彼に甘えて時間を使い、話題を考えていたけれど、無駄に時間が過ぎるだけだった。
「ごめん。なんでもない・・・」
結局小学生のような悪戯を彼に仕掛ける形になってしまった。
何か話したかった。本当はたくさん聞きたいことがあったのに、今更聞くことでもないように思えて躊躇してしまった。
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