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最悪の事態が脳裏を掠める。
――嫌!絶対嫌だ!!――
私は病室を飛び出し、急いで彼を探した。
いったいここが何処の何という病院かもわからない。どちらに進めば良いのかもわからない。それでも探さずには居られなかった。
病室の名札に彼の名前を探しながら、必死で廊下を走った。
薄暗く、誰も居ない廊下にパタパタと自分の足音だけが響く。
「どうしました?」
物音に気づいたらしく、看護師さんが私を制止する。
「は、離して!!」
看護師さんの手を払いのけ、私は前へ進もうとした。
「落ち着いてください!」
「嫌!離して!!」
大声を上げたせいで、他の看護師が集まってきた。
「離してっ!!」
数人に取り押さえられては、私もさすがに動けない。
「入江くん!入江くん!どこなの!返事して――っ!!」
体の自由を奪われた私に残されたのは、大声で叫ぶことだけだった。
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