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次にやって来たのは、調理室のある特別棟1階。わざわざ靴を履き替えるのも面倒だったから、外から見るだけにした。
窓から中を覗くと、十数人の生徒達が手際良く作業していた。
すると、1人の生徒が俺の存在に気付き、一気に室内は騒がしくなった。
「蘭様だ!どうしてここに?」
「いつ見ても素敵です///」
奥の調理台で作業をしていた凪沙も、騒ぎの原因である俺に気付いて、此方に駆け寄ってきた。
ガラガラと窓ガラスを開ける凪沙。
「湊真!?どうしたの!?なんか騒がしいなと思ったら、原因は湊真だったんだね。」
「邪魔してしまったみたいだな。ちょっと凪沙が頑張ってるところを見ようかなって思ってさ。」
凪沙はハァと息を吐くと、
「そんな台詞...僕だからいいけど、他の子達に言ったら、倒れるどころの騒ぎじゃないからね?」
何故か凪沙に注意されてしまった。
「凪沙は今なに作ってるんだ?」
室内からいい匂いがしてきて気になったので、凪沙に聞いてみた。
「今日はガトーショコラだよ。今は焼いてるとこだからあと20分で出来るけど、湊真待ってる?」
「んー。どうしようかな...」
待つかどうか迷っていると、
「あの...僕、カップケーキ作ったんですけど、良かったら食べてください!!」
部員の1人が俺の前に出来たばかりのカップケーキを差し出してきた。
「...俺に?いいの?」
俺が聞くと、コクコクと頭を縦に振る。
「ありがとう。」
ニコっと笑いお礼を言うと、その部員の子は顔を真っ赤にしてバタリと倒れてしまった。
「あーもう!誰かこの子保健室に連れて行ってください!湊真はもうどっか行って!湊真がいたら犠牲者が増えちゃう!」
と凪沙に言われて追い出されてしまった。
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