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とりあえず当初の目的を果たした俺は、寮へ帰ることにした。
夕暮れ時で、周りには誰もおらず、静けさが広がる。
「ーっめ、...れか...」
よく耳を澄ませないと聞き逃してしまうほど小さな声が、どこからか聞こえてきた。
俺は、耳に神経を集中させ、さっきの声がどこから聞こえたのか突き止めることにした。
あの声は助けを求めていたから...
「いやっ!誰か!」
今度ははっきり聞こえた。俺はその声がした方へ走り出した。
「ハァッハァッ...お前達...なにをしている...」
俺が目にした光景は、小柄な少年をガタイのいい男達が襲っているところだった。
少年は服を脱がされかけていて、殴られたのか頬が少し腫れていた。
「あんた...1年の首席じゃん?」
「近くで見るとやっぱ綺麗な顔してんなー。」
ニヤニヤしながら俺に近付いてくる。
男の1人が俺に触れようと手を延ばしてきたので、俺はその手を捻りあげた。
「いてー!!!はっ離せよ!!!」
男は逃げようともがくが、びくともしない。
「そこのお前、その子から離れろ...さもないと...こいつの腕を折る...」
本気だと見せるために、更に力を入れて捻る。
「うぁぁぁぁ!!!」
「わかった!わかったからそいつを離してくれ!」
少年から男が離れたのを確認すると、もう1人の男の腕を離してやった。
「二度とこんなことをするな。もし同じことをしたのがわかったら...」
俺は男達を睨み付ける。
「もうしないから!!(ボソッ)クソッ!話が違うじゃねぇか!」
男達は逃げるようにこの場から消えた。
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