企てる者

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「大丈夫か?」 蹲る少年に手を差しのべると、俺の手をとり立ち上がった。 「ありがとうございます...」 「いや...もっと早く気付いていれば防げていたかもしれない...」 俺は少年の腫れた頬に触れた。 「いえ、もし貴方が来てくれなかったら僕はきっと犯されていたでしょうから...」 頬に触れた手に涙が落ちる。 俺はヒョイと少年を姫抱きすると、歩き出した。 「えっ!?あのっ、1人で歩けますから!」 「そんな格好を他のやつに見られたくないだろう?頬の手当てもしないといけないからこのまま保健室に連れていく。」 自分の服の悲惨さに気づいたのか急に大人しくなった。 「...あの、お名前で呼んでもいいですか?」 抱えていた少年がおずおずと口を開く。 「俺の名前知ってるのか?」 「はい!とても有名ですから...」 「そうか...俺は君の名前を知らないな...」 「夏目倖(ナツメユキ)、2年です。」 先輩だったのか。 「先輩だったんですね。知らないとはいえタメ口ですみませんでした。」 そう謝ると、夏目先輩はブンブン首を振って、 「構いません!さっきみたいに喋ってください。」 「善処します。」 そうこうしていると、保健室に着いたので、中にいる保険医に夏目先輩を預けた。 先輩に先に帰るように言われたので、気ががりだったが保健室を後にした。 ニヤ これは始まりにすぎないんだよ... 蘭湊真君?
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