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今日の授業も全て終わり、
「湊真帰ろ?」
「あぁ。」
俺と朱希は昇降口に続く廊下を歩く。
「ふふふ。体育祭楽しみだね♪」
「俺は全然楽しみじゃない。」
「そう言わないでさ!僕頑張って衣装考えるからね!」
こうなった朱希を止める術はない。
俺は小さく溜め息を吐いた。
「あの...」
俺達の後ろから声が聞こえたので振り返ると、
「夏目先輩?」
昨日助けた夏目先輩が立っていた。
「良かった会えて。」
ニコっと笑う先輩の頬には湿布が貼ってあり、少し痛々しかった。
「夏目先輩どうしたんですか?」
「昨日のお礼をちゃんと言いたくて...」
「あれは誰でも同じことをしたと思います。だから気にしないで下さい。」
「...ありがと。」
「...ねぇ...僕のこと、忘れてない?」
今まで空気と化していた朱希が、不機嫌そうな声で喋った。
「ていうか、その人誰?」
夏目先輩を睨む朱希。
「朱希、先輩が怯えるから止めろ。こちらは夏目倖先輩。昨日襲われていたとこを助けたんだ。」
宥めるように話すと、目を見開き、ばつが悪そうに視線を逸らした。
「そうとは知らず...ごめんなさい。」
「気にしないで?急に話しかけられたら不審に思うよね。知らない人なら尚更。」
少し気まずい雰囲気になったが、元来人見知りをしない朱希はすぐに先輩と仲良くなった。
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