企てる者

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あれから夏目先輩とは、よくいろんな場所で遭遇し、その度に仲良くなっていった。主に一緒にいた朱希が...。 「先輩も好きな人いるんですね!どんな人かkwsk!!」 「うーんとね、知的で冷静沈着で...とっても素敵な人なんだ//」 今何故か、2人は恋愛話に花を咲かせている。 先輩の好きな人は、きっとこの学園の生徒...男なんだろうな。 まぁ、他人の恋愛にとやかく言うつもりもないし、上手くいけばそれなりに祝福は出来ると思う。 「最近さ、彼の周りをチョロチョロしてる奴らがいて...僕の方がずっと見てきたのに取られた気がして...」 ふいに先輩の声が低くなった気がしたが、彼の顔を見てもいつもと同じふんわりした笑顔だった。気のせいか? 「自分を意識してくれず、ぽっと出のやつに持ってかれてしまうかもという不安という名の嫉妬ですねわかります!」 息を荒くして瞳を輝かせる朱希に若干引きぎみの夏目先輩。 貴方の気持ちよく解りますよ。 「朱希、お前は自重という言葉を覚えろ。 先輩、真面目な話だったのにこいつが余計な気を起こしてしまってすみませんでした。」 「余計な気なんて起こしてないし!正常運転だよ!これからがいモガッ」 尚喋り続ける口を塞いでやった。 「ううん、気にしてないから。来栖君って面白いよね。」 心の広い先輩で良かったな朱希。 「そろそろ、テスト期間が始まるから暫くはお話できなくなっちゃうね。」 そう、1週間後には期末テストが始まる。 「そうですね。またテストが終わったらこうやって話しましょう。」 「...うん。」 先輩はこちらに手を振って去っていった。 「モガッムモガッ」 「あ、悪い。」 朱希の口を塞いでいたのを忘れていた。すぐに塞いでいた手をどけると、空気が足りなかったのか、ゼーハー言いながら大きく深呼吸をしていた。 「湊真僕を殺す気?一瞬綺麗な川が見えたよ?」 「空気の読めない朱希が悪い。」 「空気くらい読めるから!さっきは久々の萌えに興奮しただけだから!」 「さて、帰ってテスト勉強するか。」 「無視?待ってよ!僕も一緒に勉強するからー!」 俺達がそんな会話をしながら歩いていくのを冷たい視線が捉えていたなんて気づかなかった。
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