体育祭 前編

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今日は体育館でやられ役の方達と実際の間合いで練習をする。 狭い会議室とは違い、周りを気にしなくていい為、俺達は伸び伸び動くことができた。 「一通り流れは掴めたみたいなので、これからは動作を速くしていきますよ。まず、私達がお手本をお見せするので見ていてください。」 俺達はステージの下から彼らの演技を見せてもらった。 テレビで見たことはあったが、実際に生の演技を見ると圧巻される。一振り一振りが美しく、流れるような動きはまるで舞を思わせる。やられ役の方達も主役が光るように、次の動作を邪魔しないように舞台上から捌けていく。どちらかが欠けてしまったらこうはいかないのだろう。 全ての演技が終わった今も、感動で俺達は黙したままだった。 「いかがでしたか?」 声をかけられ、我に返った劉明先輩が、 「素晴らしかったです。素晴らしすぎて声が出ませんでした。」 「それは良かったです。これを皆さんにもやっていただかなくてはいけないんですけどね?」 ニコリと微笑まれたが、同じように出来る自信は俺達にはなかった。 「大丈夫ですよ。皆さんはとても筋が良いですから、必ず出来ますよ。」 プロの方にそう言って貰ったからには、俺達も全力で答えたい... 「気を引き締めていくので、ご指導宜しくお願いします!」 劉明先輩がそう言い頭を下げたので、俺達も続いた。 「では、私達も今以上に厳しくしていくので覚悟してくださいね?」 それからは鬼のような指導にやっとのことで付いていき、数時間後には彼等の本来の動きにも慣れていた。 「皆さん、かなり上達しましたね!今日はここまでにして、明日は最後の調整をしていきましょう!」 「「「「「「はい!」」」」」」 「そうだ!隊服出来たから明日はそれを着て練習だからね!着物だし慣れとかないと。」 と練習後に朱希が言ったので、各々返答した。 ―体育祭まであと2日―
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