なぜ俺が・・・・

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長い桜並木も終わりを告げ、目の前に大きな建造物が現れた。 これが学校ですか?と問いたくなるような見た目。あれだ、中世のヨーロッパによくあった建物だ。さすがの金持ち学校だなっと感心していると、 「理事長室は彼方の特別棟最上階にあります。」 彼方?と言われた方を見ると、そこにも大層立派な建物があった。聞くと理事長室の下の階は生徒会や風紀の執務室があるらしく、建物に入ることが出来るのは、理事長と秘書、生徒会役員と風紀の人間だけらしい。 「これもやっぱり王道だよね!限られた人しか入れない中唯一許された人物!それは王道くんだよ!」 俺達も今からあの中に入るけど、それはカウントされないのか? とりあえず不機嫌が治ったみたいで良かった。 建物の中に入り、エレベーターの前に立つと、副会長は胸ポケットから金色のカードを取り出し、エレベーターのボタンの上にある差し込み口にそのカードを入れる。すると認証しましたと音声が聞こえエレベーターの扉が開いた。 「このエレベーターは一般生徒が使用できないようにカード認証なしでは開かないようになっています。」 何故そのようなことになったかというと、何代か前までは認証なしでエレベーターを動かすことが出来ていたらしいが、生徒会や風紀の親衛隊が執務室まで押し掛けたり、深夜にこっそり忍び込んで私物を持ち去られるということが横行していた為、今のようになったらしい。 大変だな... そんな話をしているとポーンと音が鳴った。どうやら目的地に到着したらしい。 「この通路の先の扉が理事長室になります。私は生徒会室に戻らないといけないのでこれで失礼しますね。」 ニコっとまた嘘くさい笑顔を見せた。クイクイと俺の制服の裾を引っ張り訴える朱希に、たぶん突っ込んではいけないんだろうと理解して、笑顔を指摘することはせず、 「ありがとうございました。」 お礼を言いフッと微笑むと、目の前にいる副会長と朱希までも顔を真っ赤にして、朱希に関しては「無自覚!?無自覚なの!?」と責められた。 副会長は真っ赤になりながら、「そっそれでは失礼しますね!」とエレベーターのボタンを連打しながら消えていった。
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