体育祭 後編

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順々に走る順番が決まっていき、俺は朱希の後に走ることになった。 「久しぶりに競争したかったね?」 「まぁ、組が同じだから仕方ないな。」 「だねー。」 なんて話ながら自分の走る番が来るのを待つ。 「蘭の友達と走るんだ!まだ名前聞いてなかったな!なんて言うんだ!?」 「あははー」 「笑ってないで名前教えろよ!!」 久しぶりに見たせいか少し前に戻ってきてるな。 仕方ない。 「こいつは来栖朱希だ。それと... その喋り方を辞めろと言わなかったか?約束が守れないなら今後一切俺に話しかけるなよ?」 静かに、だが確実に相手に伝わるように言うと、綾野は顔を真っ青にして首を縦にぶんぶん動かした。 「えっ...と、名前で呼んでもいっ...いいですか?」 俺の顔色を気にしながら朱希に許可を得ようとする。 「うーん、最初は名字ね?僕が君を認めたら名前で呼んでもいいよ?」 なんか俺と似たようなことを言ったな。 「わかった!」 綾野が、出来たから誉めてと言わんばかりの表情をして俺を見ている。実際はもじゃ頭でどんな表情かなんてわからないが。 「フッ...良く出来ました。」 まぁ、素直なやつには少しは褒美をやらないとな、という意味で頭を撫でてやった。 その瞬間、グラウンドから奇声が聞こえ、綾野はひっくり返り、朱希は剥れていた。 なんだっていうんだ?
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