体育祭 後編

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なんとか事態も収拾がついて、次は朱希と綾野が走る。 そういえば、俺は誰と走るんだろうと横を見る。第3から5レーンは知らない顔ばかりだな。俺は第2レーンにいたので左横の第1レーンを最後に見ると、 「あー、お前確か食堂で...」 綾野といた一匹狼だった。 「...豹呀緋鵺(ヒョウガアカヤ)だ。」 と自己紹介された。 「あー、どうも。蘭湊真です。」 まぁ、ほぼ初対面なので俺も自己紹介をしておく。 「知ってる...お前は有名だからな...」 「そうですか...」 「.......」 「........」 会話が続かない。 まぁ、親しいわけじゃないからそんなもんだろうと、走り出した朱希達を見る。 次は俺達なのでスタートラインに立つ。 「位置について、よーい...」 パァン、という音を合図に俺は走り出した。 「やっぱり湊真は速いや。」 一足先にゴールで待っていた僕は呟いた。 湊真の速さ、走る姿にほぼ全員が見惚れている。そのせいか湊真の後を走る人達はグダグダだった。 こうやって湊真は人を惹き付けてしまうんだから困っちゃうよ。無自覚だから注意もできない。 「蘭って、足速いんだな...」 ボソッと呟く王道君を横目で見る。あのもっさりヘアの下に隠している顔はきっと頬を染めていることだろう。 それが憧れなのか、恋からなのかはまだわからないけど。 でも湊真は渡さないよ? 湊真の1番は僕だから。今はまだ幼馴染みだけど、僕のことを意識させてやるんだから!
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