体育祭 後編

15/72
前へ
/836ページ
次へ
トップバッターで走る黒組の先輩、やはり速い...だがそれは他の組も同じだ。 次の先輩にバトンが渡る時、順位は3位だった。次の先輩も懸命に走るが、前を走る黄組との差を縮めることが出来なかった。 そしてそのまま愁犀にバトンが渡る。 「さっすが愁犀!速いねー♪」 そう、朱希の言うように愁犀は速い。その証拠に、前を走っていた黄組をものの数秒で抜かし、2位に躍り出た。だけど1位との差が開きすぎていて、愁犀は間を縮めるので精一杯のようだった。 劉明先輩にバトンが渡る前に1位の赤組のアンカー、綾野が走り出し、また差を広げていく。 自称足が速いは嘘ではなく、綾野は本当に速かった。だからもう優勝は無理かな...と思いながらまた劉明先輩を見ると、先輩も俺を見ていたらしく、目が合った。 先輩は俺が思っていたことがわかったのか、不敵な笑みを称え、バトンが渡った瞬間に走り出した。 「キャァァァァ//会長様格好いい!!」 「走るお姿も素敵ですぅぅぅ//」 「会長、足速すぎだろ...」 走り出した劉明先輩はとてつもなく速かった。愁犀も速かったけど、その上を軽くいっている。 2~30Mは差が開いていたのに、一瞬で綾野を追い抜かし、あとは独走状態でゴールした。 次の瞬間、観客席からは歓喜の悲鳴が鳴り響いた。先輩はそれらを気にも止めず、此方に歩いてくる。 「よぉ。」 「おめでとうございます。先輩足速いですね。」 俺の前に仁王立ちする劉明先輩に当たり障りのない言葉をかける。 「湊真...お前、1位は無理だって思ってただろ?」 やはり気づかれていたらしい。 「いやー、あれだけ差が開いていたら普通は無理だと思いますよ?」
/836ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3168人が本棚に入れています
本棚に追加