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トップバッターで走る黒組の先輩、やはり速い...だがそれは他の組も同じだ。
次の先輩にバトンが渡る時、順位は3位だった。次の先輩も懸命に走るが、前を走る黄組との差を縮めることが出来なかった。
そしてそのまま愁犀にバトンが渡る。
「さっすが愁犀!速いねー♪」
そう、朱希の言うように愁犀は速い。その証拠に、前を走っていた黄組をものの数秒で抜かし、2位に躍り出た。だけど1位との差が開きすぎていて、愁犀は間を縮めるので精一杯のようだった。
劉明先輩にバトンが渡る前に1位の赤組のアンカー、綾野が走り出し、また差を広げていく。
自称足が速いは嘘ではなく、綾野は本当に速かった。だからもう優勝は無理かな...と思いながらまた劉明先輩を見ると、先輩も俺を見ていたらしく、目が合った。
先輩は俺が思っていたことがわかったのか、不敵な笑みを称え、バトンが渡った瞬間に走り出した。
「キャァァァァ//会長様格好いい!!」
「走るお姿も素敵ですぅぅぅ//」
「会長、足速すぎだろ...」
走り出した劉明先輩はとてつもなく速かった。愁犀も速かったけど、その上を軽くいっている。
2~30Mは差が開いていたのに、一瞬で綾野を追い抜かし、あとは独走状態でゴールした。
次の瞬間、観客席からは歓喜の悲鳴が鳴り響いた。先輩はそれらを気にも止めず、此方に歩いてくる。
「よぉ。」
「おめでとうございます。先輩足速いですね。」
俺の前に仁王立ちする劉明先輩に当たり障りのない言葉をかける。
「湊真...お前、1位は無理だって思ってただろ?」
やはり気づかれていたらしい。
「いやー、あれだけ差が開いていたら普通は無理だと思いますよ?」
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