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「えー、どうやら最初のアタリを引いたのは黒組の叶凪沙君のようです!では叶凪沙君にお相手を決めて頂きましょう!」
声高らかにマイクに向かって喋る委員長。
凪沙はどうしようかとアタフタしていた。
ノンケの凪沙に誰かを選べなんて酷な話だ。どうすれば最小限で凪沙の犠牲を減らせるか考える。
まず第一条件は相手もノンケであること、第二に顔見知りであること、第三に競技終了後も相手とギクシャクしないこと。
これらに当てはまるのは俺と朱希と...
「愁犀...」
「なに?」
俺の呟きが聞こえたのか、後ろで座っていた愁犀が乗り出してきた。
「愁犀はノンケだよな?」
「あぁ、それに婚約者もいるけど?」
「じゃあ男と至近距離にいてもなんの感情も湧かないよな?」
「いや、良い感情は湧かないよ?」
「訂正、親友が至近距離にいても大丈夫だよな?」
「あー、なんか言いたいことわかってきた...」
「察しが良くて助かるよ。」
愁犀は俺の横を通り過ぎてグラウンドに出ていった。
凪沙は愁犀に気付くと、安堵したらしく笑顔になっていた。
「愁犀×凪沙でカプ出来ないかな...幼馴染みでお互いノンケだけどこいつは特別なんだ...みたいなー♪」
一人でキャイキャイ盛り上がる朱希に何も言わない俺と、なんだか可哀想な目で朱希を見る劉明先輩と周りの生徒達。
ちなみに凪沙達は、普通にクリアしてゴールしていた。
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