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そう言い、ニコっと得意の笑顔を相手に向ける。大抵の生徒ならこの笑顔で顔を真っ赤にするが、目の前の彼、蘭湊真はうんともすんとも言わない顔でした。
ただじっと私の顔を見るだけ。なんだか笑顔に自信がなくなってきました。
それにしても...
真っ直ぐに私を見る蘭湊真は、劉明に負けず劣らずの綺麗な顔立ちでした。劉明のワイルドな感じとは違い、蘭君はどちらかと云えば中性的なのにでもどこか男を感じさせる、抱きしめたいというより抱きしめてほしい、そんな雰囲気があります。
少し欲の入った目で彼を見ていると、
「俺達理事長室に行かないといけないんですが、案内してもらえますか?」
ついさっきまで来栖君を見ていた蘭君が私に話しかけてきたので、
「はっ...はい!私に着いてきてください。」
少し焦ってしまいました。恥ずかしいですね。
恥ずかしさから少し早歩きになってしまい、ちゃんと着いてきているか確認します。
ふと、蘭君が来栖君の手を握り、まるでエスコートするように手を引いているのを見てしまいました。
付き合っているのでしょうか...?
なんだか胸の奥がモヤモヤする気がしますが気のせいでしょう。
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