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未だに項垂れる綾野を置き去りにして、俺は黒組のテントに戻る。
そこには不機嫌を隠すこともなく眉間に皺を寄せる劉明先輩とその後ろで黒いものを出している朱希、いつの間にか戻ってきていた愁犀は苦笑していた。
「どうした?」
とりあえず話のできそうな愁犀に尋ねる。
「いや、湊真が綾野とその...キスしたあたりからこんな感じなんだよ。」
その言葉にピクっと体を反応させる2人。
「2人がなにを怒ってるかわからないがキスはしてないぞ?そう見えたかもしれないが...」
「「は?」」
同時に口を開く2人。息ぴったりだな。
「遠目ではわからなかったかもしれないけど、咄嗟に手でガードしたからな。」
そう言って若干安心したようだが、それでもなぜか不機嫌だ。
「でもあの王道君、湊真の手にキスしたってことだよね...(ボソッ)王道なら会長とキスしてればいいのに」
朱希はそう言いながら、東雲先輩が用意していたアルコールティッシュで俺の手の甲を拭く。拭きすぎて摩擦熱で若干痛いんだけど...
暫く拭いて満足したのかやっと朱希が離れた。
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