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朱希を探しながら何故夏目先輩がこんなことをしたのか考えた。
つい先日まで親しく接していたはずだ。あれは先輩のフェイクだったってことか?
「くそっ!教室が多すぎてどこだか見当がつかない!」
気持ちばかりが焦って苛立ちが募る。
「授業棟の方はいないと思います。あちらは全て教師が施錠をしていますし鍵もマスターキーのみでしか解錠できませんから。」
擢兎先輩の言葉に瞬時に教育棟の選択肢を削除する。残るは特別棟と体育館と食堂になるが食堂はありえない。
となると特別棟と体育館か...
「先輩、特別棟と体育館ならどちらが人が来ないでしょうか。」
呼び出すならきっと人目を避けるはず。
「どちらもこの時間は人が入らないですからどちらかというのは難しいですね...」
この学園は食事をする方法が食堂か自炊しかない。寮には帰宅時以外で戻ることが許されていないから、授業がある昼は食堂で食べるしかない。
「いや、でも弁当持ってくれば場所は変えられるか...」
ならば体育館で食べるという選択肢が生まれてくる。
「先輩、特別棟での飲食は出来ますか?」
「いえ、あちらは貴重な資料なども保管しているので飲食は禁止されています。」
その言葉を聞いて直ぐ様踵を返す。
向かうは特別棟。
擢兎先輩も俺の発言から気づいたのか俺の後に続く。
「もしもし、愁犀か?居場所の見当がついた。...あぁ、特別棟だ。もしものために愁犀達の親衛隊には教育棟と体育館の方を見回ってほしい。」
よろしくと言って携帯の通話を切る。
続いて東雲先輩には特別棟をくまなく捜索するように頼んだ。
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