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「ごめんな朱希...俺のせいで巻き込んでしまったみたいで...」
朱希の四肢の縄をほどいてやると、自由になった両手で俺に抱きついてきた。
俺はそれを優しく受け止める。
「湊真は悪くないよ...なんとなくだけどね、夏目先輩の気持ちが解るから...僕だってずっと傍で見ていた人を横から入ってきた人に奪われたら...同じ気持ちになるかもしれないから。」
だけど朱希は優しいから思ったとしても他人を傷つけようなんて考えないはずだ。
「ねぇ、副会長様と夏目先輩を2人きりにして良かったのかな...」
チラリと先程までいた部屋のドアを見る朱希。
「大丈夫だろ。こんな形になったとはいえ想いを寄せる相手を傷つけるとは思えないからな。親衛隊だから想いを伝えたらいけないなんてことはないんだから。」
それが恋や友愛、尊敬だとしてもそれを相手に伝えずに歪んだ形になるよりはずっといい。必ず実を結ぶものとは限らないけれど。
「ボソッ...僕も伝えなきゃかな..」
「なにか言ったか?」
「んー?なーんにも!」
グリグリと頭を擦り付けてくる朱希を優しく撫でた。
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