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side擢兎
湊真が出ていった後、私の親衛隊隊長の夏目倖と2人きりになった。
だけど目の前の夏目は下を向いたままこちらを見ない。
「貴方は私になにか言うべきことがあるんじゃないですか?」
こちらから話を切り出した。
私の言葉に反応してピクリと肩を震わせる。
「なにもないのでしたら私は失礼します。」
踵を返し、ドアに向かって歩きだした。
「待ってください!」
足を止め、チラリと声がした方へ視線を向けると、夏目が涙目で私を見ていた。
ようやく話す気になったらしい。
「僕の気持ちを...聞いて下さいますか?」
私はコクリと頷く。
「僕は、貴方が中学に入学した時からずっと好きでした...中学では親衛隊は作ってはいけない決まりでしたから僕はただ貴方を見ていることしかできませんでした...それでも貴方が笑顔を見せる度に僕も嬉しくなりました。
高校生になり1年間貴方に会えない日々が続き、少しずつ気持ちが歪んできたのかもしれません...
貴方が高校に入学してきてすぐに親衛隊を立ち上げました。貴方を一番理解しているのは僕だと思っていましたから...
だけど僕を差し置いて貴方に近づくやつらがいてそれが赦せなかった!
だから...貴方から離れるように仕向けていました...
ごめんなさい。」
深く頭を下げる夏目。
「それは...私に謝ることなのですか?違いますよね?本当に謝らなきゃいけないのは今まで貴方が傷つけてきてしまった人達にでしょう?」
私なんかより精神的にも肉体的にも傷ついているでしょう。それに間接的にも私が関わってしまっているんですから私にも非があります。
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