体育祭 後編

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「貴方はそれでいいのですか?辛くはないのですか?」 もし私が同じ立場なら、好きな人が他人と結ばれるのを黙ってみているなんて出来ないです。 きっと悲しくて...逃げ出してしまうでしょう。 「本当は...とても辛いです...だけど見守ることが僕自身の償いだと思うから... 今まで色んな人を傷つけた痛みを...消すことは出来ないから... 罪滅ぼしって言っては可笑しいですが、僕にはそれしか出来ないから。」 たとえ自身の想いが成就しなくともよいというのですか。 「私には貴方の考えが理解できないです。」 悲しそうに笑う夏目に言葉を続ける。 「ですが、貴方がそれでいいと言うなら... 親衛隊隊長を続けてください。」 許可されるとは思っていなかったらしく、目を見開いています。まぁ、普通なら赦しはしませんか。 「本当によろしいのですか?」 「いいと言っているでしょう?しつこいと撤回しますよ。」 そう言うと、首を横にブンブン振る夏目にクスリと笑ってしまいました。
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