いざ寮へ

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中に入ってもやはりホテルにしか見えない。ラウンジがあるが必要なのか? 兎に角、寮監に早く鍵を貰って部屋で寛ぎたい。色々規格外なことが続き疲れていた(精神的に)俺はフロントにある呼び鈴を鳴らした。 暫くするとフロント横のドアが開き、中から2人出てきた。1人は小柄で可愛らしい少年、もう1人の方は背は俺より高く、いかにも遊んでますって感じのイケメンだった。 「キタコレー!予想道理の展開ご馳走さまでーす!」 と相手に聞こえない声で叫ぶ朱希。 確かに少年の方は服が少し乱れ、もう1人に至ってはシャツの釦は全開で、上半身が見たくもないのに見えてしまう。まぁしっかり筋肉のついている体なので見ていて不快とまではいかないか。 こちらに気づいた少年は、俺達を見ると顔を真っ赤にして走り去ってしまった。きっと見られて恥ずかしかったのだろう。 なんて考えながら少年が走り去ってしまった方を見ていると、残った男が此方を向いた。 「もしかして君らが理事長から聞いていた外部入学生かな?確か名前は...蘭君と来栖君?」 ニコニコというよりへらへら笑うこの男が寮監で間違いないなと思いつつ、こいつが寮監で大丈夫なのか?と疑問に思う。 「そうですけど...貴方が寮監でいいんですよね?」 そう尋ねると、 「そうだよ。俺が2年で寮監の工藤夕貴です。宜しくね。」 そう返された。2年で寮監なのを不思議に思ったが、確か日本の警備会社を纏めているのは工藤という名だった気がする。一度蘭家主催のパーティーでも見たことがあるのを思い出した。向こうも俺に気づいた様子で、 「もしかして、蘭ってあの蘭の?うーん。会ったことあるよね?直接話たわけじゃないけど。」 「蘭家主催のパーティーで一度だけお会いしましたよ。」 そう言うと、自信なかったけど合っててよかったーと、へらへら笑う。 「それにしても...」 俺と朱希の顔を交互に見る寮監こと工藤先輩。 「2人とも綺麗な顔してるよねー。来栖君は綺麗というより可愛いかー。」 何を急に言い出すかと思えば...俺は兎も角、朱希は確かに可愛いが。 「ねぇねぇ。聞いちゃうけど2人って付き合ってるの?」 突拍子もなさずぎて開いた口が塞がらないとはこのことだと思った。 「俺達はただの幼馴染みです。変な想像はやめてください。」 少し睨みながら言うと、そっかーと軽く流された。 その時朱希が少し悲しそうな顔をしているなんて知らなかった。
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