入学式

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湊真がスピーチ台から一歩下がり一礼し、ステージから降り自分の席に座る。普通ならここで拍手が起こるはずだがあまりにも湊真のスピーチが流麗すぎて拍手をするタイミングを逃してしまったのだ。 本人はそれに関してはさしてなんとも思っていなかったのだが。 「コホンッ...以上をもちまして第〇〇回海淵学園入学式を終わります。在校生から速やかに退場してください。」 「湊真すごいね!昨日の今日でよくあれだけのスピーチ思いついたね!」 僕びっくりしたよーとニコニコしながら横に座る俺に話しかける。 「あー...実は昨日部屋に戻ってから考えようと思ったんだが、どうにも眠たくなって気がついたら朝になってた。だからあれを考えたのはついさっきだ...」 我ながらあんまり纏まってなかったなぁと遠い目をする。 それを聞いた朱希は開いた口がそのまま開きっぱなしだ。あれだけのスピーチをついさっき考えたなんて、しかもちゃんと纏まりあったよ!さすが天下の蘭だなと改めて思った朱希だった。
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