入学式

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「続いて、新入生の皆さん、退場してください。」 どうやら在校生は皆退場したようで、次は俺達の番だった。Dクラスからだったので俺達がいるSクラスはどうやら最後みたいだ。 外に出られるまで椅子に座って待っていると、視線の先に誰かの足が見えたので顔を上げると、そこには昨日会った副会長がいた。 「昨日ぶりですね。蘭君のスピーチとても良かったですよ。まさか君が首席なんて知らなかったから君の名前が呼ばれたとき驚きましたが。」 クスクス笑う副会長。それを見ながら、 「はぁ...どうも。」 と無難な返しをしておいた。そういえば、 「昨日は理事長室の案内頼んでしまってすみませんでした。生徒会は今日の入学式の準備で忙しかったんでしょう?」 食堂で聞いたのを思い出し、副会長に詫びる。 「気にしなくていいんですよ?困っている生徒を助けるのも生徒会の仕事ですし、それに...」 チラっと俺を見る副会長。 「いえ...なんでもありません。忘れてください。」 そう中途半端に終わられると余計気になるんだけど。 「湊真!もう僕達の順番来たから行こうよ!」 そう言いながら俺の腕をグイグイ引っ張る。 朱希に引っ張られながらもしっかり副会長を見据え、 「それじゃあ俺は失礼しますね。これからよろしくお願いしますね?先輩?」 フッと笑いかけると副会長の顔は真っ赤になった。
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