入学式

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こちらに背を向け歩き始めた擢兎にハァと溜め息が出た。 あの様子じゃ、なんで赤くなるかなんて気付いてないだろうな。初恋もまだなはずだ。幼いときからずっと一緒にいたからわずかな感情の変化にも気付ける。 しかし、あの擢兎が心惹かれる新入生、名前は確か蘭湊真。蘭なら誰でも知ってる有名な家柄だ。さらに首席で頭も良い。 そしてなにより惹かれるその容姿... 「蘭湊真か...面白くなりそうだな。」 隠しきれない笑みが、劉明の口角を上げる。 劉明もまた、擢兎のように無意識に湊真に囚われていく。本人がそれに気付くのはまだ暫く先のことだ。
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