新しい友達

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俺達は今自分達の教室の前にいる。 俺達の在籍する1Sは成績が上位で尚且つ家柄が良い生徒で構成されている。だから何人かパーティーなどで見たことのある顔があった。 席はどうやら自由らしく、皆親しい者同士で集まっているみたいだ。俺と朱希は1番後ろの窓際とその隣の席を陣取る。 特にすることもないので窓の外をぼーっと見ていると、誰かが前の席に座ってきた。それでも気にせず外を見ていると、 「ねぇ、さっき新入生代表やった蘭君だよね?」 どうやら俺に話しかけているみたいなので顔をそちらに向けると、思いの外顔が近かった為、驚いて椅子を引いた。 「あ、驚かせちゃった?ごめんごめん!まだ名乗ってなかったよね。俺の名前は浅生愁犀(アソウシュウセイ)。愁犀って呼んでくれ!」 「あぁ、よろしく。俺のことも湊真でいい。」 「よろしくな!それで、隣に座ってる君はなんて名前?」 俺の隣に座る朱希に尋ねる。 「ボソボソ...爽やか君...だと!いや、確かに王道ストーリーには転校生君の横に一匹狼君とセットでおりますけども!けどもなぜ今ここに!?初めて会うのは食堂だって決めてたのに!転校生君を挟んで、一匹狼君と火花バチバチさせてるのが見たかったのに!」 独り言のようにブツブツ喋っている朱希に若干引いている愁犀。すまないな、こいつはだいたいこうだ、と心の中で詫びる。 「こうなったらこちらの話は聞こえてないからスルーでいいぞ。ちなみにこいつは来栖朱希だ。」 「そっか。了解!」 なんとも順応性の高い愁犀に感謝したい。大概は朱希の変わりようについていけないから。 「そうだ!今日は風邪引いて休んだんだけどさ、俺の同室のやつもこのクラスなんだ。だから治ったら仲良くしてやってほしいんだ。」 愁犀の同室なら変なやつじゃないだろうし、断る理由が特に見つからなかったので了承した。
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