蘭湊真の憂鬱

新入生歓迎会

5月某日

「只今から、新入生歓迎会を始めます。」

副会長の言葉を皮切りに、とうとう新歓が始まった。

「今年は昨年と大幅に内容が変更されましたので説明します。空知。」

名前を呼ばれ、まの延びた返事をしながら会計が出てきた。

「それじゃぁ、俺がぁ説明するよぉ。今回するのはぁ、鬼ごっこだよぉ。鬼ごっこっていうのはぁ、追いかける人とぉ、逃げる人に別れてぇ、逃げる人を捕まえるぅｹﾞｰﾑなんだよぉ。」

ざわざわしている生徒達。どうやら鬼ごっこを知らないらしい。

「はぁい静かにぃ。説明続けるよぉ。朝教室でぇ、こぉんなﾎﾞｯｸｽからぁ、ｶｰﾄﾞを引いたとぉ思うんだけどぉ、それにぃ、ｸﾗｳﾝの絵がぁ、描いてある人はぁ逃げる人でぇす!」

各々自分が引いたｶｰﾄﾞを確認する。俺も勿論確認した。

....ｸﾗｳﾝ....

「逃げる人はぁ、後でこのﾌﾞﾚｽﾚｯﾄを受け取ってねぇ?」

と言って、ｸﾗｳﾝが付いているﾌﾞﾚｽﾚｯﾄを高々と掲げる。

「追いかける人はぁ、こっちの石の付いたﾌﾞﾚｽﾚｯﾄを着けてねぇ!2つのﾌﾞﾚｽﾚｯﾄを近づけるとぉ、ｸﾗｳﾝにある窪みに石が引き付けられるからぁ、ﾌﾞﾚｽﾚｯﾄがぁ、手錠のようになりまぁす。

捕まえられる人数にぃ、制限はぁないからぁ、ここでぇﾌﾞﾚｽﾚｯﾄを解除したらぁ、また捕まえに行ってもぉいいよぉ。」

目の前で２つのﾌﾞﾚｽﾚｯﾄをくっつけ、そして書記が持ってきたｾﾝｻｰでﾌﾞﾚｽﾚｯﾄを解除するのを見せる会計。

「時間はぁ、10時から14時の4時間でぇす。たぁくさん捕まえたぁ上位5人とぉ、最後まで逃げ切った人にはぁ、生徒会の権限でぇなんでもぉお願いを叶えちゃいまぁす!なんでもって言ってもぉ、可能なお願いだけだよぉ?恋人にぃしてくださいとかはぁ、だめだよぉ?」

相手の意志を無視しての恋人はありえないからな。

「あとぉ、捕まえた人はぁ、その捕まえたぁ人にぃお願いできるからねぇ。たくさん捕まえた人はぁ、その中から1人だけだよぉ。」

逃げ切らないと結局誰かのお願いを聞かなきゃいけないのかよ。まぁ逃げ切ればいいだけの話だが。

「ちなみにぃ、俺達生徒会もぉ、参加するよぉ!俺達はぁどちらでもあるからぁ、捕まえてもぉいいよぉ?逆にぃ、気に入った子がいたらぁ捕まえちゃうかもぉ。」

そう言ってｳｲﾝｸをする会計。それを見て倒れる生徒。始まる前から棄権者を出してどうする。