3167人が本棚に入れています
本棚に追加
「それで?お前は鬼なわけ?」
毬藻頭の口から手を離し喋れるようにした。また喚きだしたら塞いでやるが。
「俺は逃げる方なんだ!劉明達に追いかけられてたんだけどなんとか撒いて...」
ちゃんと言いつけを守って声のボリュームも下げている。
「お前...ちゃんと俺との約束守ってるんだな...」
「だって!いいこにしてたら名前呼んでくれるって言ったから!」
必死な形相で俺を見る毬藻頭。いいこに...とは言ってなかったと思うが、まぁそういうことにはなるのかと一人考える。
「このまま、なにも起きなければちゃんと呼んでやるよ。」
こいつが生徒会のやつらから逃げてきたなら近くにいるということ。
一緒にいたら捕まる可能性が高くなるな。
横目で毬藻頭を見ながらどうするか考える。
「俺はそろそろ逃げる。お前も早くここから離れた方がいいぞ。すぐに生徒会の「見つけましたよ!」...やつらがくるからな。」
案の定そこにいたのは生徒会のやつら。だいぶ走ったのだろう、肩が上下に揺れている。
「随分探しましたよ?蘭君。」
少し黒いオーラが出てる副会長。
「....そうみたいですね。」
副会長が一歩踏み出す。俺は逆に一歩引く。
「擢兎!嫌がってるのに無理矢理捕まえたら駄目なんだぞ!」
まともなことを言ってる毬藻頭。成長したな。
「涼風、これは蘭君の合意を得ていますから無理矢理ではないのですよ?」
そうですよね?と問われれば、はいそうですとしか答えられない。間違いなく挑発したのは俺だからな。
最初のコメントを投稿しよう!