新入生歓迎会

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朱希達がこちらに向かってるなんて知らない俺はというと... 会長と副会長、そして毬藻頭とともに鬼の群衆に囲まれていた。 背後には校舎があるが、1階の窓はすべて閉まっていて逃げ込むことは不可能だ。 「チッ...ここまでか...」 「捕まってしまう前に蘭君を捕まえてしまえばいいだけです。」 「俺が捕まえるんだ!」 「拒否します。そしてお前は鬼じゃないんだから黙ってろ。」 なんとか逃げる手段を頭のなかで考え、シミュレーションする。 そして1番成功率が高いであろう作戦を実行することにした。 「ところでさ、鬼はこんなに沢山いるわけだけど...誰が俺達を捕まえるのかな?」 俺が口を開くとザワッと鬼がざわめいた。 会長達はなんだ?と言わんばかりの顔をして俺を見る。 「まり...こいつは...まぁそこの2人が捕まえに来たんだろうからいいとして...」 毬藻頭を指差して、食堂で毬藻頭と一緒にいたやつらを見ながら喋る。 「でも2人以外は会長と副会長狙いだろ?こんなにいる鬼に対して捕まえられるのは2人だけ...」 俺は口角を上げて、 「さて...誰が捕まえるのかな?」 と言い放った。 一瞬静寂に包まれたこの場が一気に騒がしくなる。 「そうだよ!捕まえてお願いを聞いてもらえるのは3人だけなんだよ!」 「俺は絶対に譲らないからな!」 「僕だって!会長様にお願い聞いてもらうんだから!」 「なに言ってんの!?会長様を捕まえるのは僕だよ!!」 など、追いかけてきた鬼達は絶対に譲らないと言い合っている。 その対象である俺達のことを忘れて。 「お前...仕組んだな?」 「なんのことです?俺は事実を言ったまでですよ?」 「蘭君...貴方って人は...」 そう、俺はこの状況を狙って作った。 全てはこの場から逃げるため...
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