なぜ俺が・・・・

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未だブツブツ言っている朱希を置いていってやろうか、そう考えていたその時、前方から人が歩いてくるのがわかった。 あの人に理事長室の場所を聞こうと、歩いてくる人物に向かって足を進めると、相手もこちらに気づいたのか同じように近付いてきた。 「貴方達が外部入学生の蘭君と来栖君ですか?」 「そうですけど、貴方は?」 「私は、この海淵学園の生徒会副会長の御劔擢兎(ミツルギタクト)です。」 純和風な美人は副会長らしい。ニコっと笑うその笑顔には、嘘くささが滲み出ている。 これが朱希の言っていた嘘の笑顔だろう。 「(ボソ)ちゃんと笑えば可愛いのに勿体無いな...) 「なにか言いましたか?」 「いえ何も。」 相手に聞こえていないことを祈りつつ、若干空気化していた朱希のことを思い出し振り返ると、何故か目を見開き、硬直した朱希の姿があった。
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